2017年1月10日
日本取締役協会の3委員会(投資家との対話委員会、独立取締役委員会、日本の金融の新しい動きを理解し戦略を考える委員会*注1) は合同で、2014年(平成26年)に導入された、「『責任ある機関投資家』の諸原則 ≪日本版スチュワードシップ・コード≫ ~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~」を受け入れる機関投資家が解決すべき課題を踏まえ、企業経営者・国内機関投資家の意見を参考に、来春に予定されているコード改定に対して、提言を取りまとめました。
コードの改定案では、わが国の大手運用会社の多くが金融機関グループに属していることから、利益相反を管理するため、議決権行使等の行動指針を定めるなどの取組みを求めました。(原則2)
同時に企業経営者から、国内機関投資家が短期的視点や形式主義に陥らないこと(原則3、4、6)、アセット・マネジャー等の意識やスキルの向上に十分な資源を投入することや(原則7)、議決権行使助言会社のサービスを利用する場合の責任、加えて助言会社においても、ガバナンス体制構築とサービスの質の確保に向けた体制の整備の必要性も加えました。(原則5)
コード改定案に加えて、政策保有株式による持合い安定株主の存在が依然として大きいことで、企業と機関投資家との「目的を持った対話」(エンゲージメント)の実効性が阻害されているのではないかとの声もあり、政策保有株式を「保有する側」の説明責任が強化されることや、機関投資家も顧客や受益者に対して、取締役会評価と同様に、スチュワードシップ活動を評価し、説明責任を果たすことなどにもふれました。
本提案は、顧客・受益者と投資先企業の双方を視野に入れた、責任ある機関投資家としてのスチュワードシップ活動の質と実効性を高める観点から、必要な対応を行っていくことを望んでいます。