フジ・メディア・ホールディングスの第三者委員会報告に関する声明を公表

2025年4月 8日

日本取締役協会(会長 冨山和彦)、同リスクガバナンス委員会(委員長 神林比洋雄*)は、本年3月31日に株式会社フジ・メディア・ホールディングス(以下「FMH」という。)及びその子会社である株式会社フジテレビジョン(以下「CX」という。)の第三者委員会が公表した調査報告書(以下「本報告書」という。)について、声明を公表します。

*プロティビティLLC シニアマネージングディレクタ

本報告書が明らかにしたFMHグループのコーポレートガバナンスの機能不全の原因を、形式的なルールやシステムを整備していても、経営トップの選解任という本質的機能が形骸化している統治構造や、法人格を有しない「フジサンケイグループ」という事実上の集合体における"代表"に実質的な最高権力が集中していたという異常な権力構造と指摘します。これは株主のみならず、FMH及びCXの取引先や従業員などの重要なステークホルダーの期待と信頼を裏切る行為であり、ガバナンスの歪みを通り越して、資本市場における上場会社としての適格性を欠くものといえます。

再発を防止するために、最高監査責任者(CAE:Chief Audit Executive)の新設、内部監査部門から経営陣と監査等委員会の双方に対する二重の報告ライン(dual reporting line)の確立、親会社と子会社における監査機能の独立性を確保、取締役の指名プロセスの透明性・公正性を抜本的に高めるために指名委員会等設置会社への移行することなど、具体的な施策の実行を強く求めます。

当協会では、本年2月27日、「倫理問題から経営課題へ-人権尊重を企業経営の中核に据えるために-」と題する提言を公表し、当該事案に関してFMH及びCXに対し、人権の尊重が倫理問題であり、重要な経営課題として企業経営の中核に据え、経営者自身がその重要性を深く認識し、自らの責任として主体的にこれに向き合うべきことを強く求めております。今回はその追加声明となるものです。
2025年2月27日 提言本文