With コロナとコーポレートガバナンス

2020年9月14日

宮内義彦(日本取締役協会 会長/オリックス 株式会社 シニア・チェアマン)

[ 雑誌「コーポレートガバナンス」Vol.4 - 2020年8月号 掲載 ]

現在、世界の経済は、新型コロナウイルスの蔓延により、企業活動は停滞を余儀なくされ、結果としてGDPが大幅に下がるという、我々にとって経験したことのない状況になり、再活性化には、相当の期間を要することも覚悟しなければならない。

このような緊急事態においても、あらためて日本のidentityは社会性をもった経済力であることを再認識する必要がある。これからも日本の経済力をさらに高めるためには、企業をイノベーションへ駆り立てるシステム構築が必要であり、それを達成する一つがコーポレートガバナンスであることは間違いない。

 ウイルス感染による国家危機の中、各国のリーダーはその指導力を発揮し存在感を高めた一方、資質に疑問を持たれるケースも見受けられ、今回ほどリーダーの役割の重要性を認識したことは久しくなかった。企業経営においても同様である。

コーポレートガバナンスにより企業を成長させ、時代にふさわしいリーダーを選ぶことが必要になる。

一方、マスクの高額転売や治療薬による過大な利益、従業員の解雇、国の企業救済などの事象に代表される企業の在り方も問われるようになった。

今回のコロナ禍は、われわれに企業の社会性とコーポレートガバナンスの取り組みという新しい考察を求めているのかもしれない。

日本取締役協会 会長
オリックス 株式会社 シニア・チェアマン
宮内義彦